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【印刷通販BOOK2020】ネット印刷ITP 進化するネット印刷通販「いろぷり」スタート

2020.12.6

創業100余年のITPグループの技術とサービスを通販サイトでも展開

 

いろぷり_01

北井元司 社長

2020年7月、ネット印刷ITP株式会社が運営するネット印刷通販「いろぷり」が正式オープンした。同印刷通販サイトは、2019年、グループ会社の株式会社ITP(旧・石田大成社)の社員研修プロジェクトで出されたアイデアをもとに新規事業としてスタートしたもの。わずか7か月の超短期間で通販サイトのスタートにこぎつけた。根底にあるのは、ITPが蓄積してきた100余年の技術力をはじめ、新しいことへ挑戦する開拓力などにほかならない。グループが持つ生産体制をバックボーンに、高い品質と顧客との信頼関係を重ねつつ、印刷通販サイトを目指し、進化を続けている。ネット印刷ITPの北井元司社長に話を伺った。

 

ITPの設備力をバックに事業開始

 

「いろぷり」立ち上げのきっかけは、ITPの社員研修プログラム『夢語り塾』でした。昨年12月の『夢語り塾』は、全国のITPグループの営業・制作・生産・業務など様々な部署から集まったメンバーで構成され、「祖業である印刷の将来展望について」を語りあう場として設けられました。
この中から出てきた意見の一つに、“印刷通販事業に挑戦したい”というものでした。このアイデアは経営サイドに受け入れられ、すぐに組織化へと動きだし、今年1月に開設準備室の設置、2月には運営会社「ネット印刷ITP株式会社」を設立しました。そして7月1日にネット印刷サービス「いろぷり」の開設となりました。わずか7か月間という超短期間で動いてきました。
超短期間で開設できた背景として、社会的に通販サイトが受け入れられやすい時代になってきたということがあります。通販サイトを利用する人は増えており、さらにコロナ禍によりそれが加速していると思います。それと同様に、一般企業が印刷通販サイトを活用して印刷を発注することも増えていると思います。
また、通販事業を受け入れる体制がITPグループ側にも整っていたということも大きな要因です。現在、ITPグループの生産拠点は、京都・名古屋・東京の3工場に加え、2018年10月にグループ傘下に加わった遠藤写真工芸所の滋賀工場を合わせた4工場となり、少ない投資で印刷通販事業に参入できる体制が整っていました。
特に、アルバムなど写真印刷を強みとしてきた遠藤写真工芸所が加わったことで、提供できる印刷メニューが増え、多様な印刷ニーズに対応できるようになりました。これは通販サイトを運営する上でメリットになります。

 

発注先を使い分ける時代に

 

現在のインターネット社会において、気軽に印刷を発注できることは、印刷ビジネスにおいて大切な要素になってきています。このことは、「印刷通販事業で儲ける、儲けないにかかわらず、機能として持たなければいけない時代に入っている」という話もよく聞かれます。
印刷クライアントにとって、特別な日に配布したり、特別なお客様へ渡す印刷物などコストと時間をかけた印刷物があると思いますが、その対岸には、高品質にこだわらず、すぐに欲しい、それでいて少部数な印刷物もあります。こうしたニーズは、わざわざ営業マンに来てもらうのではなく、通販サイトを利用して簡単に発注したいと思っているのではないでしょうか。そのため、印刷クライアント側では、すでに印刷物の内容によって発注先を使い分けるようになってきています。
加えて、印刷の市場は価格の見直しなど競争力が高まっているのも事実です。そのため、受注する印刷会社としては、利益の少ない案件に営業コストを掛けるのではなく、新しい企画の提案や新しいアイデアを顧客と一緒に創出する営業活動に集中したいという本音があります。印刷通販サイトは、こうした両者の要望をかなえる仕組みなのだと思います。

 

キーワードは働き方改革・感染対策

 

今年は、コロナ禍が印刷産業に大きな影響を与えました。ITPグループの印刷関連部門においても、メインの顧客先の一つである大手流通の動きが一時止まり、今まで経験したことのないような事態になりました。
そうした中でスタートしたネット印刷通販「いろぷり」は、最小限の取り扱いアイテムからサービスを始め、7月から9月までを第1フェーズ「助走期間」と定め、10月からの第2フェーズを「確立・拡充期」としました。それに合わせて、「働き方改革」と「感染対策」をキーワードに掲げ、商品とサービスの取り扱いを始めました。
「働き方改革」とは、アウトソーシングの受け皿や提携ネットワークによる新商品やコラボ企画への対応の充実です。例えば、年末に企業ノベルティとして活用される「卓上カレンダー」や、ノベルティとして人気の高い「クリアファイル」に対応したり、圧着はがきやチラシ印刷については平版印刷で10万枚まで対応するなどサービスを拡充しました。「感染対策」としては、マスクケース、飛沫パーテーション、フェイスシールド、抗菌名刺・抗菌カレンダーなどキーワードに沿った新商品をメニューに加えました。

 

進化する「いろぷり」

 

「いろぷり」は当初、BtoB中心の印刷通販サイトとしてスタートしましたが、最近はBtoCへも少し裾野を広げています。スタートして驚いたことの一つに、想定以上に個人ユーザーの利用が多いということでした。利用者の4割は法人企業ですが、残り6割は個人ユーザーという多さです。
お問い合わせの電話も結構あり、データ制作に関してはプリプレス担当者など現場のスタッフが懇切丁寧に応えています。電話のやり取りを聞く限りでは、「そこまで教えるの?」と思うことがあるほどです。こうした丁寧な対応が評価されたのか、オープンから3か月程度ですが、おかげ様で発送の遅延や品質に対するクレームなどは一切ありません。
そして、より使いやすく、見やすいサイトを目指し、10月1日にビジュアルや機能も一部リニューアルしました。それが、第2フェーズのテーマ「働き方改革」と「感染対策」に合わせたメニューの充実と連動しています。
なおその他にも、新しいサービスとして「プレミアムデジタルプレス」をスタートします。昨年末に導入した、富士フイルム社製枚葉型インクジェットデジタルプレス「Jet Press 750S」とUVニスコーター連動ラインを活用した印刷サービスです。高細線・高品質の印刷が提供でき、RGB画像を使ったカレンダーや品質にこだわりたい少部数冊子などに最適です。デジタル印刷なので、バリアブル・イメージバリアブルDMや、1冊毎に写真構成を変えた卒業アルバムなども作れます。
その他にも進化する印刷通販サイトとして、多言語翻訳サービスやCG制作、ドローン撮影などITPグループの多彩なサービスの窓口としても機能していくことを目指しています。

いろぷり_02

7月にオープンした「いろぷり」

 

他社との共存・共栄目指す

 

印刷通販というサービスは、広く知られるようになり、市場はこれからも拡大していくと思います。しかし、印刷産業全体は、かつて9兆円産業になると言われていた頃と比べて約半分の5兆円規模にまで縮小しています。また、今回のコロナ禍で印刷産業はさらに厳しい経営環境となりました。
そして、コロナ禍がもたらしたもう一つが、デジタル化の加速です。ITPでは以前からTV会議システム活用をしたり、デジタル化に積極的に取り組んできたため、コロナ禍でもデスクワークに関する業務はあまり影響を受けませんでした。しかし、大型の機械を扱う工場では感染対策や時短勤務への切り替えなど働き方改革が必要とされ、従来とは別次元での変革の時代が来ていると感じています。それは、印刷業界の中で、「ITP」として何ができるのかを改めて考える機会となりました。
これまでITPは、流通や自動車メーカーなどトップ企業・メジャー企業と長年にわたり信頼関係を培ってきました。こうした技術の基盤を生かしながら、デジタルトランスフォーメーションを意識した特色ある同業他社とのネットワーク・コラボレーションや連携を目指したいと考えています。
印刷通販サービスの活用は、印刷会社における働き方改革という課題に対応できるサービスであり、「いろぷり」も、アウトソーシングや橋渡し的な役割を担うことができると思います。そのためにも、今後は横の連携や協業が実現できればいいと考えております。
印刷産業を例えるならば、一つの飛行機だと思います。多種多様な技術・方法などの様々なアイテムを持つ企業の集合体であり、ITPグループはそのうちの一部分でしかありません。飛び続けるには両翼・尾翼も含めたバランスが不可欠です。ですからITPグループは、多くの同業他社と助け合いながら共存・共栄を図っていきたいと考えているのです。

 

ネット印刷ITP株式会社  http://www.iropuri.com