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富士ゼロックス 海外でも評価される企画&デザインを可能にするデジタル印刷の魅力

2020.10.24

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富士ゼロックスでは、2008年からアジア・パシフィック地域でデジタル印刷に関するコンテストプログラムPIXI(Printing Innovation with Xerox Imaging)アワードを開催しており、2019年度では、日本からアオヤギ株式会社とヤマゼンコミュニケイションズ株式会社の2社が、それぞれ部門賞の第1位を受賞している。中でもヤマゼンコミュニケイションズは「作品展示会いいね!シール投票」においても受賞するダブル受賞となった。

7月27日には、ダブル受賞を果たしたヤマゼンコミュニケイションズで、表彰状授与式が行われ、富士ゼロックス執行役員グラフィックコミュニケーションサービス事業本部長兼業務部長の木田裕士氏から表彰状とトロフィーが渡された。

 

なおPIXIアワードは、2020年度から名称をイノベーション・プリント・アワード(Innovation Print Awards)に変更し、現在作品を募集中だ。締め切りは10月28日(日本事務局必着)。

審査対象は、富士ゼロックスのデジタルプリンター及び富士フイルム Acuity series/Jet Pressを使って制作された印刷物。応募カテゴリーは、「アプリケーション部門のカテゴリー」と「印刷技術別部門のカテゴリー」の2つ。

 

2019年度に12回目を迎えた富士ゼロックスの「PIXIアワード」は、アジア・パシフィック地域のユーザーから広く作品を募集して行われるデジタル印刷のコンテスト。審査は、革新性、ビジネス性、デジタル印刷ならではの技術活用、プリント及び後加工の品質、全体を通しての美しさによって評価され、入賞作品が選ばれる。

2019年度は新設の「クリエイティブデザイン」部門を含む22部門に、12の国と地域から248作品が寄せられた。日本からは6社が16作品を応募。厳正な審査の結果、10の国と地域から43の受賞作品が選ばれ、日本からはポスター部門でアオヤギの『ロアッソ熊本ロングタペストリー』が、オフィス用品部門でヤマゼンコミュニケイションズの『POCKET MUSEUM(名刺カバー)』が、それぞれ第1位を獲得した。

 

 

浮世絵の魅力を発揮したヤマゼンコミュニケイションズの

名刺『POCKET MUSEUM』が高評価

12-1_POCKET MUSEUM(名刺カバー)

ヤマゼンコミュニケイションズの『POCKET MUSEUM』は、透明フィルム素材の名刺カバーにイリデッセのメタリックカラーとホワイトトナーで浮世絵を表現し、内側には裏面にカレンダーを印刷した名刺を挟んでいる。名刺にカバーをかけることで卓上カレンダー・卓上POPUPとしても楽しめるアイデア作品でもある。審査員からは「『神奈川沖浪裏』という浮世絵を使い、非常にオリジナル性が高い見事な名刺で、クライアントに渡したくなる素晴らしい作品」との評価を得た。
加えて2月には、期間限定で国内外の80作品を集めて行ったPIXIアワード作品展示会において、来場者に対して、「作ってみたい」「もらってみたい」の2つの視点からシールで投票してもらう企画が実施され、『POCKET MUSEUM』は「もらってみたい」部門で、お客様及び社員投票の総合第1位を受賞した。

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なお2019年度PIXIアワードの入賞作品43作品のうち、31作品に富士ゼロックスのプロダクションプリンターIridesse™ Production Pressが活用されている。日本の入賞作品2作品のほか、最優秀賞を獲得したオーストラリアIntertype社の『デザイナー教育キット』もイリデッセによるもの。

Iridesse™ Production Pressは、オンデマンド印刷にかつてない表現力をもたらす1パス6色プリントエンジンを搭載したプロダクションプリンター。ゴールド、シルバー、ホワイト、ピンク、カスタムレッド、クリアといった特殊トナーが、デザイン表現の可能性を広げる。光輝性の高いゴールドやシルバーの特殊トナーとCMYKトナーの掛け合わせによって、これまでにない多彩なメタリックカラーを実現する。高い出力解像度で、高精細画質を実現。1200dpiのRIPと10bitの階調補正で文字や細線、グラデーションも美しく表現する。

 

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2019年度PIXIアワードのオフィス用品部門第1位を獲得した『POCKET MUSEUM(名刺カバー)』は、箔の表現や透明フィルムという素材の特徴に加え、世界でも人気の高い北斎の「富嶽三十六景」の『神奈川沖浪裏』を大胆に活用したデザインなどが評価され受賞に至っている。山本堅嗣宣社長と製作を担当した同社アートディレクターの浅野裕彦氏、法人営業1チーム井上博史氏、PODチーム手塚知秀氏に、作品づくりについて伺った。

 

アワードの1位獲得目指し、特殊トナー生かした作品づくりに挑戦

ヤマゼンコミュニケイションズは、これまでもPIXIアワードに参加しており、drupaが開催された2016年度には、フォトブック部門で3位に入賞した経験を持つ。しかし山本社長は「1位と3位で大きな違いを実感しましたし、日本の受賞作品が少ないと思い、日本人としても一番を取りたいと思ってきました」と挑戦を続けてきた理由を語っている。
中でも今回の受賞を後押しした大きな要因の一つとして、Iridesse™ Production Pressが導入されたことで、「特殊トナーによって色々なことができるようになり、素材を生かした作品が作れました」と述べている。
『POCKET MUSEUM』は、営業が持つおしゃれな名刺をつくりたいということから企画がスタートした。当初は浮世絵ではなく、栃木の名所を入れたデザインを考えていたが、社長の「誰でも知っている絵がいいのではないか」との言葉から、北斎の絵を採用することになった。このデザインがきっかけとなり北斎だけでなく、有名なアート作品を取り入れたデザイン名刺をつくれたら楽しいのではないかと、『POCKET MUSEUM』が誕生した。

 

Iridesse™ Production Pressの強みとものづくり力が融合した『POCKET MUSEUM』
『POCKET MUSEUM』の特徴である二つ折りにされたフィルム部分は、全て手折りで行っている。機械で折り加工していない分、ふっくらとした仕上がりとなったことで、自立型のPOPUP名刺としても提案されている。手折り作業のためコストが掛かるが、「1枚100円で、100枚で1万円です」と伝えても、「安いねと言われます」という。付加価値の高い名刺として提案している。
名刺については、コミュニケーションツールと捉えることで価値は変わると浅野氏。『POCKET MUSEUM』を渡すことで営業マンは話のネタも提供でき、名刺の裏側に印刷されている2か月毎のカレンダーが机上に置けるPOPUP名刺としての役割を果たすことで、定期的に訪問するきっかけ作りにも活かせる。
この名刺を渡すことで相談事や新しい仕事との関係へと繋がっている。コロナ禍を迎えたことで、人々の意識は変わり、「名刺」の価格も下落している。しかし、顧客先との接点が減っている今だからこそインパクトのある名刺が役立つと考えている。

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同社がIridesse™ Production Pressを導入したのは2018年。特殊色による表現など前任機を上回るシステムとして選択し、6色だけでなく4色プリントの画質にも高い評価を寄せている。中でも、特殊トナーの活用に積極的だ。

ゴールドトナーによる金の表現に関しては、オフセット印刷ではできなかった100部などの少部数でもコストを抑えて提供できるようになった。ホワイトトナーも顧客からの評価が高い表現の一つであり、「まだまだ使いこなす余地があると思っています」という。
コロナ禍では、鮮やかなピンクトナーを単色で使ったソーシャルディスタンス用のフットパネルを、全国のスーパーにサービスとして配布した。滑って転ばないように、剥がれにくいようにと工夫を凝らしたが、「品質が良すぎて消費が進まないということが分かりました。これも知見の一つです」と振り返る。

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その他にも校正機や1部からの図録・冊子、プレミアム感のあるDM、ホテルのレストランのメニューなど、サイズや表現にとらわれない印刷物づくりをイリデッセで行っている。加えて、同社が運営しているオリジナル商材のECサイト「nocoso」では、フォトパネルの受注が伸びているという。今後はさらに「紙」という概念にとらわれず、「紙」の表現の域を変える商品づくりを行っていきたいと展望している。
山本社長は、イリデッセには、ロットの少ない印刷物をつくることと、付加価値として商材になるものの2つの道があると表現する。「スピードと品質はデジタルで対応できるようになりました。デザイナーを多く抱えているため、上流にこだわったものづくりをしています。どんな“事づくり”をしていくのか。そのためにもお客様のことを知り、何が必要かを考えています」と、付加価値の高いものづくりについて語っている。