関西ペイント 液状型漆喰材料の新型コロナウイルスへの効果を実証

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長崎大学 安田二朗教授
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関西ペイントの毛利訓士社長

関西ペイントは、10月5日、同社が提供している液状型漆喰材料のSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)不活化実証実験を実施した結果、ウイルスの増殖抑制効果が確認されたことを発表した。同社の液状型漆喰材料は、抗菌・抗ウイルスの機能性和紙「銀雪」にも採用されている材料。

実験を行った液状型漆喰塗料は、長崎大学感染症共同研究拠点の安田二朗教授と関西ペイントが特許を持つ技術。実験の結果、接触5分で99.9%以上の不活化効果が確認された。

日本古来からの自然素材の建材である「漆喰」は、主成分の消石灰がもつ強アルカリ性により、抗菌・抗ウイルス・消臭、あるいは調湿など優れた機能をもつものであり、長年、日本の生活文化の中で活用されてきた。関西ペイントは、2007年、消石灰塗料化技術を活用した新カテゴリー「漆喰塗料」を創出。2016年には不織布や紙などに塗布可能な高柔軟性漆喰塗料を開発した。2019年には、接触感染対策テープを商品化。抗ウイルスおよび接触感染対策の観点でインフルエンザ流行への対抗策として提案していた。

この間、2008年には大阪大学微生物研究所において抗ウイルス性能を確認、2016年には長崎大学で2回目の検証を行い、4種類に対して抗ウイルス性能があることが確認されていた。そうした中、今年、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、改めて9月、長崎大学の協力を得て、新型コロナウイルスに関する実証実験を行い、効果があることが確認された。

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様々な用途への採用を考えているという

関西ペイントは、『培った技術で社会に貢献』することを念頭に事業を展開。抗ウイルスという観点で2016年から展開してきた同材料が、改めてウイルス対策製品として評価されてことを機に、今後は建材関係だけでなく、幅広い産業へ提供していきたいとしている。ウイルス対策ビジネスは、成長期を迎えているが、今後も社会に必要とされる市場と捉えており、法人企業をはじめ、商業・飲食、医療施設、保育・学校教育施設など多様な産業への展開を検討している。

すでに接触感染対策シリーズでは、シート形状のものやテープ状のものを販売。今後は、玄関やトイレの床などで利用できる抗ウイルス・抗菌マット、漆喰和紙マスクケース、シックイ簡易トレイ、シックイ簡易ベッド、漆喰フェイスシールドなどの商品化を計画している。

なお、実証実験に協力した長崎大学熱帯医学研究所 新興感染症学分野 安田二朗教授は、「2016年の実証実験の結果から、新型コロナウイルスでも良好な抗ウイルス効果が確認できるものと考えていた。今回は5分という短時間で99.9%以上の高い不活化効果が確認できたことは漆喰塗料の潜在能力の高さを感じる。様々なものに塗布できるため、幅広く応用できる汎用性が期待でき、医療や老健施設などにおける衛生環境の向上に役立てることができるのではないか」とコメントしている。

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