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平河工業社 活字文化を守る検査体制強化、9台にウエブテック『SENSAI』搭載

2020.8.24

両面機には裏表にカメラを設置

両面機には裏表にカメラを設置

株式会社平河工業社(東京都新宿区)は東京都板橋区の生産拠点・小竹事業所に設備する印刷機にウエブテックのインライン品質検査装置『SENSAI』を搭載し、品質管理体制を強化した。

1950年に創業した同社は1960年に写真製版カメラ『リスマチック』を自社開発。ハイデルベルグ印刷機と組み合わせ、高品位で小ロットに対応したモノクロ頁物印刷の領域を切り開いた。主に印刷会社や出版社からの受託生産(OEM)を引き受け、高次元で品質とコストを両立した生産体制が高く評価されている。また、徹底的に〝文字〟を追求し、「日本の社会と文化を担う大切な仕事」(同社・和田有史副社長)と位置付けている。

2006年には小ロット化が進む書籍の表紙や関連印刷物のニーズに対応するため、カラー印刷に着手。モノクロ印刷・2色印刷を含め、本の特性に応じて175線から340線までのスクリーンを使い分けている。

主力工場の小竹事業所には菊全判8色両面兼用機、菊半裁判5色機、菊全判4色両面兼用機2台、菊全判2色両面兼用機5台、菊四裁4色アニカラー機が設備されている。2018年8月にインライン品質検査装置『SENSAI』を導入し、約1年でアニカラー機を除く9台全てに搭載された。

同社では最新のカラーイメージコントロールを導入し、デジタル技術で色の経時変化を抑えて安定した品質を維持している。従来はこれに加えて、業務に応じ500枚、1,000枚、2,000枚に一度、抜き取り検査を実施。刷了後にはパラ検で検品していた。

同社の和田副社長は「例えば、1,000人の子供が試験にトライして、そのうちの1枚に裏白や文字欠けがあったら心の傷になるかもしれません。1,000枚のうちの1枚ではなく、子供にとって1枚の中の1枚です。お客様もそうした品質を求められています」と述べる。同社では抜き取り検査で不具合が発生した場合、全数を見直すこともあった。同社小竹事業所製造部印刷課の原田卓朗氏は「当社の仕事は外部にヤレを出さない、出してはいけないものです」と述べ、現場のプライドを示す。

ナンバリングで不具合箇所を特定

ナンバリングで不具合箇所を特定

『SENSAI』は印刷中に高精度カメラで全数をチェックし、ピンホールなどの微細な不良から薄い地汚れ、色ムラなどの濃度変化を検知。不良個所を警告して不良品の外部流出を防ぐ。同社が導入した『SENSAI』はナンバリング装置と連動。すべての印刷物にナンバーを入れることで、不具合のある紙面を迅速に特定することができる。ロットが多い場合、不具合を探すのに時間を要するが、SENSAIとナンバリングでそうした手間が省かれた。「オペレータはカメラが見てくれるから安心感が大きいと思います。表紙などの品質が問われる場合、一段厳しい設定で検査したいと積極的に提案が出るようになりました。表紙はお客様の商品の顔ですから水撥ねなどがあったら大変です。非常にありがたいですね」(原田氏)

 

残業・クレーム率減少

 

インライン検査装置はカラー印刷に採用されることが多いが、モノクロ印刷で使われるケースは少ない。和田副社長は「新聞の縮刷版は文字が小さく、薄い紙を使います。色々な議論のために新聞は必要不可欠です。また、書籍は子供たちの情緒を養い、大人の知性を高めます。読書を疎かにすると脳の回路が進歩しないという研究結果もあります。有価証券報告書にミスがあっては投資活動に影響します。だから当社が取り組む文字の印刷はよりパーフェクトを目指すことが必要なのです」と、2色兼用機への搭載理由を説明。「とくに薄紙は手ごわい素材です。ウエブテックのインライン検査装置は不可抗力的な部分をカバーしてくれています」と高く評価している。

リアルタイムでモニタリング

リアルタイムでモニタリング

薄紙の場合、反転時に用紙の角が織り込まれ、気が付かずに製本、断裁まで流れてしまうことがある。そのため、両面機の中間胴にも『SENSAI』のカメラを設置し、乱丁につながる折れの不具合を検知している。

経営的にはパラ検など検査にかかるオペレータの負担が解消され、残業時間が減少。とくに近年はますます多品種・小ロット化が進み、検査数が増加傾向にあった。工数の削減は大きな効果を生み、昨年から施行された働き方改革関連法への対応もスムーズに済んだ。

和田副社長は「クレーム率も減少しました。クレームはあってはいけませんが、いくら人知を尽くしてもミスは出ます。それが協力会社であっても、10人、20人を割いてミスをカバーするのが当社のポリシーです」と品質に力を入れる。同社では同業者が顧客を連れて工場を見学することが多い。「検査用のカメラを見るとより安心してくれるようです」と目に見えないメリットもある。

同社では小竹事業所の成功を機に、将来的に舟渡事業所(東京都板橋区)、向原事業所(同)の印刷機全台に『SENSAI』の導入を検討している。