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【インタビュー】J SPIRITS 地代所伸治社長 設立10周年 みんなに伝えたい。“ありがとう”と“これからも末永く”

2018.9.6

J SPIRITS 地代所伸治社長

J SPIRITS 地代所伸治社長

印刷業向けMIS『PrintSapiens』を開発、販売する株式会社J SPIRITSは今年で設立10周年を迎えた。基幹業務システム機能をコアに、印刷関連機器・ソフトウェアとの情報連携や業務支援など様々な用途を加えてきた『PrintSapiens』のユーザーは現在、300社超。10月12日(金)には設立10周年を記念して『ユーザーカンファレンス』(←詳細はこちらから)を開催する。多彩な機能に加え、絶えず印刷会社の声に耳を傾け、時代のニーズを捉えてきた同社の地代所伸治社長に、この10年を振り返って頂くとともに、これからの10年を語って頂いた。 (文責・編集部)

 

2008年に設立して10周年を迎えられました。おめでとうございます。

改めて創業の経緯を振り返って頂けますか。

 

率直に当時の自分の気持ちは、「しがらみに捕われずにやりたいことを続けたい」でした。PrintSapiensの開発と販売を引き継いだことで、ユーザーの皆様と共に歩める。これが一番大きかったですね。ただ、PrintSapiensは基幹業務システムで、経営のインフラであり、お金を扱うシステムです。引き継ぎに当たって、お客様が不安になられたのも事実です。製品は同じでも別法人。海のものとも山のものとも分からないわけですから。創業1年目に信頼を頂くことができたのは、創業した時に手を差し伸べて頂いたお客様、応援して下さったお客様の力です。

 

J SPIRITSという社名の由来は?

 

最初の候補はJWORLDでした。それでは“地代所の世界”の意味になるからダメだろうと。それは冗談で、実のところドメインが取れなかったのです。その時、知人から勧められたのが“スピリッツ”でした。J SPIRITSで“日本魂”。日本のモノづくりの精神を大事にしようという想いを込めました。丁寧に質の高いソフトウェアを作るという経営方針とも一致しましたし、ドメインも取れました。たまに“地代所・酒(スピリッツ=蒸留酒)”だろうと言われることもあります。

 

地代所社長にとってPrintSapiensはどのような存在ですか?

 

開発者としては子供のようなものですね。初期バージョンができたのが1997年ですから、もう21歳。子供はあっという間に大きくなります。私も年を取りました。

1997年頃からコンピュータの世界ではミレニアム問題があり、オフコンで基幹業務システムを構築している印刷会社様にとってもシステムの変更が重要な課題でした。PrintSapiensはWindows NTをベースにSQLサーバーで構築していましたので、24時間、安定して動くというのが最大の特徴です。欧文印刷様がまずご導入頂き、その年の暮れに内覧会を開いて下さって、多くの印刷会社様に見て頂くことができました。最初の2年で採用して頂いた印刷会社様が50社。4年後には100社を超えました。現在のPrintSapiensのベースを築いて下さったのがその頃に導入頂いたユーザー様です。

今ではユーザー様が300社を超えました。PrintSapiensを認めて下さっている印刷会社様がそれだけいるというのは非常にありがたいことです。

私はPrintSapiensを開発する前、建築や食材、デリバリーなど色々な業界の基幹業務システムに携わっていました。普通は数量に単価を掛ければ売上が出ますが、印刷業界は色数をかけてみたり、紙の重さで単価が変わったりと、積算がものすごく複雑です。最初、これはコンピュータ化できないだろうと、全くのお手上げ状態でした。企業ごとに積算式や用語、指示書が違いますし、それこそ色々な要素がからんで、仕様が同じでも原価が違うこともあります。計算式や業務の流れなど数ヵ月間は勉強の日々でしたね。

 

PrintSapiensが他のMISと違う点はどこですか?

 

PrintSapiensは20年前の技術をコアにバージョンを重ねています。20年前にご導入頂いたユーザー様も、最新のPrintSapiensを使えることが大きな魅力なのだと感じています。専用システムでガチガチに作ってしまうと、10年も経てば作り変えることになってしまいます。20年前は製版フィルムがありましたが、今はありません。10年前と比べてもデジタル印刷の利用が格段に増えています。PrintSapiensは仕事の内容や周辺環境が変わっても使い続けることができます。開発当初のOSはWindows NTでしたが、現在はWindows Server2016。変化に追従していける仕組みを考えてきた結果だといえます。

 

利益管理の考え方は経営者の哲学が反映される部分でもあります。難しさはないですか。

 

昔はありましたよ。こういう考え方だからシステムを合わせて欲しいというご要望も多かったですね。でも、全日本印刷工業組合連合会さんや日本印刷技術協会さんの業界団体が盛んに経営の“見える化”の重要性を訴えてきたおかげで、原価管理の考え方が標準化されてきたように感じます。PrintSapiensを利用した管理会計の仕方を説明すると、納得して頂ける経営者の方が増えました。前より仕事が少しだけ楽になっています(笑)。

変わり目は2008年のリーマンショックでしょう。以降、売上追求だけでなく、利益をきちんと管理しなければダメだという風潮が強くなっていきました。数字をざっくり見るだけなのか、その数字の裏に隠されている理由を見ていくのか。管理会計の重要性はほとんどの経営者の方が感じていると思います。

原価管理の考え方は標準化されてきましたが、ページ物が得意だったり、商業印刷に強みを持っていたり、会社によって業務内容が違います。それによって指示書の仕様が変わってくるわけですが、PrintSapiensはユーザーご自身で指示書を作ることができます。指示書の仕様を変えるたびに、システム会社に作り直してもらう必要がないので時間やコストの節約につながります。

 

JDFの対応は早かったですね。

 

2003年にハイデルベルグ社の印刷機コントロールセンター『CP2000』と連携したのが始まりでした。ジョブを流し込んで、実績を収集するものでしたが、今振り返ると、インダストリー4.0が提唱される前から印刷産業は“連携”に目を向けていたのだからすごいですよね。

本格的にPrintSapiensでJDFが使われるようになったのは2008年のdrupa2008以降です。この10年で色々な機器やソフト同士をつなげたいというニーズが出てきました。PrintSapiensはJDFだけでなく、XMLやCSVでも連携しています。

 

これからのPrintSapiensは何を目指すのですか?

 

基本はPrintSapiensのコアを変えずに周辺機能を充実させていく方向です。

一つはスマートデバイスへの対応をもっと進めることです。例えば、営業担当の方がスマホを片手に自分の仕事を管理したり、見積りしたり。現場の方もパソコンが設置してある場所に行かなくてもタブレットで色々な情報を得られるようにしたいですね。

その先にあるのはAI(人工知能)です。コンピュータがM IS の実績データを基に作業者に指示や注意を与えて仕事をサポートするような形です。このお客様は必ずRGBで入稿してくるから気をつけないさいよ、とかアラートしてくれるようなものです。コンピュータに任せられる仕事は管理にも営業にも現場にも残っています。そうした課題を解消できれば、もっとクリエイティブな部分に人的リソースを割いていけると思います。

印刷業務の作業実績データの量はものすごいものがあります。中堅の会社では1日に1,000、2,000のデータが集積されます。これが1年、2年と蓄積されるとビッグデータになります。現在は作業実績から原価や作業時間を割り出すだけですが、もっと踏み込んでいけば、「この仕事は原価がかかるから、クライアントと値段の交渉をしなさいね」とAIが指示することも可能だと考えています。

お客様から要望を聞いてシステムを作ることも重要ですが、開発側からこんな機能はどうですかという発信力をもっとつけていきたいと思っています。

 

PrintSapiensには様々な機能があり、ユーザーによって使い方がまちまちです。

 

ユーザー様の多くが基幹業務システムとしての機能を利用しています。普通に使っていれば不具合もなく業務が進むので、普段は他の機能をあまり意識されないのだと思います。蛇口をひねると水が出るようなものです。ただ、最近は業界のオピニオンリーダーにもなっているヘビーユーザー様の講演やセミナーを聞いた方から、PrintSapiensの再教育を依頼されることが増えてきました。あっちの会社は蛇口からお湯も出るそうだぞと。

伝票を出すだけでももちろん良いのですが、PrintSapiensからは経営者が必要な数字がすぐに出てきます。コストをかけずに正確に、しかもリアルタイムにです。業務効率を高める機能もありますから、PrintSapiensの機能を知って頂ける機会を増やしたいですね。

毎年、page展に合わせて開催しているユーザー懇親会は、色々な機能を知って頂き、ユーザー様同士が親交を深めて情報交換して頂くという目的もあります。

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10月には10周年記念のユーザーカンファレンスを開催されますね。

 

お祝いだけでなく、講演会やセミナーを通じてPrintSapiensの利用方法のヒントを一つでも得て頂ければと思います。当日はユーザー様が自社の取り組みを話して頂けます。また、作業指示書のコンテストも開催します。他社の指示書を見ることができるまたとない機会になりますので、どうぞご期待下さい。作業指示書は会場内に掲示して、皆さんに投票してもらいます。

 

この10年を振り返り、ステークホルダーの方々への想いは色々とあると思います。

 

社員に対してはひと言、「ありがとう」です。そして、10年という節目になぜPrintSapiensが存在するのかを考えてもらいたい。技術が素晴らしいから受け入れて頂いているだけではなく、お客様の声に真摯に応え続けてきた結果、存在できているのです。そのことをもう一度認識し、一層のプロ意識を持ちながら、絶えず時代の風を意識して仕事に取り組んでもらいたいです。

また、印刷業界のベンダー企業の方々のご協力は、当社にとって大きな力になっており、心から感謝しています。お客様のために、今後もウイン-ウインの関係を大事にしていきたい思いです。

そして最後になりましたが、大切なお客様へ。お陰様でやっと独り立ちできました。それはもう感謝の念に尽きます。10周年を迎えられたのは皆様の応援あってこそです。Print

Sapiensをお使い続けて頂いているユーザー様が多いのは、それがお役に立っているからだと感じています。もっともっと皆様のお役に立ち、ご要望に応えるシステムを作り続けていきます。本当にありがとうございます。

改めて心から感謝を申し上げますとともに、これからもJ SPIRITSをどうぞよろしくお願い致します!