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シナノ 印刷会社向けに小ロット特化の
シール・ラベル印刷サービス開始

2017.11.10

刷版業で培った高い画像形成技術

 

シナノ株式会社は、エプソンのデジタルラベル印刷機『SurePress L-4033AW』を導入し、小ロットのシール・ラベル印刷サービスを開始した。

 

同社は平成2年、刷版業のシナノ製版として東京都葛飾区で創業。平成9年に現在の東京都荒川区に移転し、主に印刷会社を取引先として刷版を供給してきた。

児玉直人社長

児玉直人社長

平成21年にはSCREEN社製のCTPシステムを導入。それまで印刷会社から供給された製版フィルムからPS版に焼き付けていたが、デジタルデータから直接、刷版を出力する業態へとシフトした。同時に自社で作成した刷版から、外注で平台校正を調達。修正を繰り返しながらクライアントが納得するCTPへと仕上げる業務も増えてきた。近年は刷版から印刷までを請け負うこともあり、ここ10年で売上構成比が大きく変化している。

 

同社の強みは画像形成に必要になる高品位の網点の制作技術にある。アナログの焼き付け刷版で培った技術は、高品質の印刷物を生み出すデジタルデータの制作へと受け継がれている。CTPシステムを導入済みの印刷会社からも同社に版の出力が寄せられるのは、刷版専業者として身に着けた技術力が頼られているためである。

 

同社の児玉直人社長は、「お預かりするデータは、そのままで印刷することができないことが多いですね。例えばRGBのデータであったり、オフィス等のデータであったり。DTPデータの不備、不足点、材料に応じたスミ版修正などに対応しています」と述べる。修正や組み直しは印刷会社にとって手間のかかる業務。同社はそうした高度なデータ変換や組版を引き受ける。デザイナーが特色系の色を指定してきた場合でも、CMYKの4版で求められる色に近づけ、「最終的にお客様に満足頂けるものを納められています」という。

 

デジタルラベル印刷機『SurePress L-4033AW』

デジタルラベル印刷機『SurePress L-4033AW』

多品種・小ロット化に伴い多くの印刷会社では版の使用量が増加傾向にあった。同社もそうした時流に乗りながら成長してきた。しかしここ数年は印刷需要そのものが頭打ちとなり、刷版自体が減少傾向に転じている。

 

「新しい事業の柱を立てたいと考えていたところ、隣接するラベル印刷業者から小ロットの案件に困っており、仕事を断ることが多いという話を聞きました」。児玉社長は印刷会社が抱える課題こそ、同社の領域。デジタル印刷機で小ロットのシール・ラベル印刷を供給できれば、顧客である印刷会社に一層の利便性が提供できると考えた。

 

特色など幅広い色域を再現

型不要でカッティング

 

SurePressの出力見本

SurePressの出力見本

小ロットのラベル同社が導入したSurePressは、エプソンが独自に開発した水性顔料インク『SurePress AQ ink』を搭載。CMYK+ホワイトに加えて、オレンジインク、グリーンインクを搭載しており、色域が広い。これにより特色が多用されるシール・ラベル需要にも対応する。また通常のブラックインク以外に、非コート紙に最適なアンコーテッドブラックインクを出力することができるため、基材に応じた表現を可能にしている。

 

『SurePress AQ ink』に含まれる被膜化樹脂は、光沢感の再現に優れるだけでなく、表面の耐水性・耐光性を高める効果がある。飲料などの食品をはじめ、浴室、キッチン製品のラベルなどその用途や活用シーンが幅広い。

 

デジタルラベル印刷機の導入に当たっては、品質に厳しい目を持つ先代の社長と現場のオペレーターが機種の選定をスタートさせていた。UVインク搭載の機種をはじめ、様々なデジタル印刷機の機能を比較した結果、水性インクが持つ広い色域、表現の豊かさが同社の基盤技術の発揮を叶えるとともに、幅広い市場に高品質の製品が提供できると判断した。

 

SurePressには後加工機がニアラインで設置されている。三起機械が小型カッティングプロッターをベースに開発したカッティングマシンで、抜き、カス上げ、シートカット。これにより小ロットで印刷ができても抜き型代で単価が上がってしまうことがない。このほかラミネート機も設置して、シール・ラベルに必要とされる加工までを提供する。

 

ロール給紙タイプのカッティングマシン(左)、シートカット機(右)

ロール給紙タイプのカッティングマシン(左)、シートカット機(右)

サービスの対象は、小ロットの業務に困っているシール・ラベル印刷業者をはじめ、一般のオフセット印刷会社を想定している。商品や製品に付随するシール・ラベルから訂正シールや個人情報保護シール、クライアントに提案するためのサンプルまでの印刷を請け負っている。デジタル印刷ならではの可変印刷にも応じる。

 

「オフセット印刷機は再発注時の色や見当の調整が大変で、小ロットになるとなおさらです。SurePressは色の安定性が高く、見当も合います。ラベル業者の方に見て頂きましたが、オフセット印刷よりも見当が合っているとの評価を頂きました」

 

クライアントの多くはこれまで大ロットで発注して単価を下げ、在庫を持ちながらシールやラベルを利用してきたが、不要の在庫を持たず、必要な時に必要な枚数だけを求めるようになっており、シール・ラベルは小ロット化。再版でも安定した色品質が要求されるため、版を利用する印刷機の準備時間が増え、稼動率が低下してしまう。プロファイルをしっかり作成しておけば、SurePressの色の安定性は再版時の安心感にもつながる。

 

想定するロット数はA4換算で数枚から1,000枚程度。納期はロットにもよるものの、ロール渡しの場合、即日納品にも対応する。

 

今後はホームページを立ち上げ、印刷会社や制作会社を対象にした印刷ネット通販も見据える。児玉社長は「高品位のデータを作れるところが当社の強み。シール・ラベルの印刷サービスにも活かして、小ロットでお困りの方たちにぜひ利用して頂きたいと思います」と述べている。

 

【問合せ先】

シナノ株式会社

東京都荒川区荒川8-5-15

TEL 03-3806-2295