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Ferture特集記事

トキワメディアサービス
「はがれる」メリットで教材関連の新需要を拓く
常識を覆した独自開発の“剥がれスクラム製本”

tokiwamain

2016.8.8

 

充実の加工部門

 

江月章社長

江月章社長

株式会社トキワメディアサービスは無線綴じを応用し、ページを離脱できる「剥がれスクラム製本」を開発した。教材をはじめ、レシピや楽譜などに採用されている。

同社はモノクロ・2色の頁物印刷に特化。無線アジロ綴じ製本、中綴じ製本のラインを揃え、最終製品から発送までのワンストップサービスを展開している。教育分野での教育教材・資格取得テキスト・試験問題集、企業の販促マニュアル、人材育成マニュアル、各種製品の取扱説明書、書籍の印刷まで幅広く受注している。

埼玉県朝霞市の24時間稼動の朝霞事業所にはKOMORIの菊全2色兼両面機4台、東京出版機械の無線綴じ機(20鞍)、尾﨏製作所の中綴機(5鞍)、正栄機械製作所、スタールの折機、永井機械製作所の断裁機を備える。このほか、東京都千代田区の神田事業所ではモノクロ、カラーのオンデマンド印刷機とホリゾンの無線綴じ機などを設備している。

「品質保証、納期保証」を掲げデータ製作から印刷、製本までの一貫生産ラインで品質とコストダウントを追求するとともに、これらを統括する生産管理部門の強化にも取り組んでいる。とりわけ最終製品を仕上げる製本ラインはこの間重点的に取り組んできた。無線綴機は1時間7,000冊の生産能力を持つ。

平成21年に実用新案を登録した「剥がれスクラム製本」は、複数の冊子を連ねて一冊の状態に製本し、使用するときは一冊ずつ簡単に剥がして使える製本方法。絶対に剥がれないことが重要だった今までの製本とは全く逆の発想から誕生し、独自の技術を駆使して開発した。平成24年7月には改良版の「剥がれスクラム中綴じ及び無線製本」でも実用新案登録。平成24年6月には「剥がれスクラム製本」の開発計画が、東京都に認められ経営革新計画の承認を受けた。

 

学習塾の要請から開発

 

剥がれスクラム製本の利点

剥がれスクラム製本の利点

「剥がれスクラム製本」の開発は、同社の取引先である大手学習塾からの相談がきっかけとなった。従来の学習教材ドリルは用紙を1枚ずつ帯留めし問題用紙を1枚ずつはがして使用する方式だったが、この場合、前後の関連性を保つことができず系統だった学習ができないという問題もあった。一度帯をはずすと頁がバラバラとなるほか、高コストとなり、出題も1頁に収めなければならず、編集上の制約もあった。帯留め方式以外では用紙にミシン目を入れて、ページを切り離す方法もあるが、ミシン目加工用の型をつくる必要があり、納期やコスト面で課題がある。また、ページを切り離す際に、破けることもある。

同社では8ページもしくは16ページ単位でまとめ、糊で接着させる製本形態を編み出した。通常の製本は天から地まですべてに糊付けるが、同社では、糊を付ける箇所と箇所数、糊量、糊の種類、塗布の調整を試行錯誤し、未使用段階で離脱しない程度の接着力と、使用時の剥がしやすさのバランス、見栄えの良さを高めた。

開発に当たっては、製本機に独自に手を加え、ミリ単位で最適な糊付け部、塗布範囲が調整できるようにし、安定生産を実現。さらに通常のクルミ製本では糊の部分が見えないため、黄色っぽい糊を使用するが、剥がれスクラム製本では、糊の接着部が目に見えるため、白色に近く、かつ接着力があり、剥がれやすい糊を選定した。

同社では小ロット化が進んでいる教材で採用されやすいよう、設備も完備。必要な章や単元ごとに冊子を剥がして使用できる教材や試験問題をはじめ、音楽出版社でも楽器パートごとに剥がして使える楽譜などで多数の実績を重ねている。

 

増える商品バリエーション

 

「剥がれスクラム製本」は主にA4用紙で厚さの限られた教材で採用されている。一方で、クライアントからは多様な用紙サイズ、厚みの教材についても採用したいとの要望が寄せられている。

現在はこれらの要望に応え、多様な用紙サイズ、紙質、スクラムの厚みに対応できる剥がれスクラム製本技術の確立、最脱着可能な技術の確立に取り組み、バリエーションを拡大。「中綴じ剥がれスクラム製本」をはじめ、「アジロ綴じ剥がれスクラム製本」、脱着製本「だっちゃくん」を開発し、ニーズに応えている。新たに開発した「だっちゃくん」は繰り返し着脱しても接着力が落ちない新開発の糊と、「剥がれスクラム製本」を組み合わせた新技術。

同社の江月章社長は「実用新案の剥がれスクラム製本がクライアントからも好評で、教育関連に加えて音楽や料理のレシピ本等でも活用が広がっている。オフセット印刷、オンデマンド印刷による高品質のモノクロ、2色、カラー印刷から無線綴じ、中綴じ、アジロ製本の剥がれスクラム製本を広めていきたい」と述べている。