印刷業界ニュース ニュープリネット

Ferture特集記事

【drupa2016】HP Inc.
デジタル印刷機56台出展で巨大印刷工場を再現
多彩なアプリケーションを生み出すIndigo新製品

main

2016.8.9

 

17ホール全館使用で最大規模の出展

 

drupa2016で最大の出展規模を誇ったHP Inc.(HP)は、印刷品質と生産性、汎用性、カラーマネジメントの機能を強化した「HP Indigoデジタル印刷機」シリーズ、インクジェット輪転印刷機「HP PageWide Web Press」シリーズ、サインディスプレイや段ボール向けのラージフォーマットプリンター「HP Scitex インダストリアルプレス」シリーズ、「HP Latexプリンターシリーズ」などの製品56台を取り揃え、17ホールを埋め尽くしてデジタル印刷工場を再現した。

新製品のIndigo12000を見ようと多くの来場者が詰めかけた

新製品のIndigo12000を見ようと多くの来場者が詰めかけた

Indigoエリアには、「HP Indigo 10000デジタル印刷機」の従来機の他、「HP Indigo 12000/7900/5900デジタル印刷機」の枚葉機3機種、B1ノビに対応する両面機「HP Indigo 50000 デジタル印刷機」、フォト向けの「HP Indigo WS6800p デジタル印刷機」、ラベル・パッケージ用デジタル印刷機「HP Indigo 8000 デジタル印刷機」などの新製品を出展(以下、機種名表記略)。Indigo 10000は、ホリゾンのシートカッター「スマートスタッカー」をインラインで連結。最大28面付けサイズに切りだし、全てページ順に揃えてスタックするアルバム用途に最適なシステムを披露した。

Indigoシリーズの新製品は、ハードウェアと消耗品、ソフトウェアの総合的な技術革新により、オフセット印刷と同等の品質を実現し、印刷のシャープさと滑らかさを高めている。さらにIndigo 12000では、新しい高精細ライティングヘッドテクノロジーにより印刷解像度を2倍の1,600dpiに向上し、より高品質な印刷を実現する。また、測色計器が濃度計から分光光度計に切り替わった。これにより、自動カラーマネジメントツールなどを活用し、色の精度や一貫性、紙の検知を高め、厳しい品質要求への対応とカラーマネジメントによる競合優位性を確保する。

さらにIndigo12000に新たに搭載可能となった「One-Shotテクノロジー」と最新センサーにより、合成素材、蒸着紙、キャンバス、黒紙からカラー原反を含む様々なメディアに対応。インキ定着を実現するHP Indigoエレクトロインキデジタルプライマーにより、新たなアプリケーションへと活用の幅を広げる。また、カラーシャッフル機能を搭載したハイパーカスタマイズソフト「HP SmartStream Mosaic3.0」により、デザインの選択肢を拡大する。

プリプレス作業は「HP SmartStream Production Pro6.0」を活用することで最大50%作業時間を削減。生産中の校正作業やジョブの優先順位の変更をオンプレスで制御し、ノンストップ印刷を支援する「HP Indigo Optimizer」により、シフトあたりの処理能力を最大40%向上した。

HP Indigoは新機種より5色機が標準となり、6、7色目をオプションとして追加でき、最大でパントンカラーの97%をカバーする。CMYKのほか、蛍光ピンクやホワイト、ライトインキ(ライトシアン、ライトマゼンタ、ライトブラック)、特練りインキ、耐候性インキ、盛り上げインキ、UVレッドなど色と機能性を拡充している。

研究開発の段階だが、HPブースでは、Indigoで出力可能な新たな機能性インキを紹介するコーナーも設置された。香りの付くインキや、印刷後に熱を加えるとインキが膨張して立体感を出す機能性インキ、カラー印刷と合わせることで多色メタリックを演出するシルバーインキ、インキ中に電気を貯め、印刷物に電気特性を持たせるインキ、スクラッチ用の銀箔、温度変化で絵柄が浮き上がるインキなど、将来的なIndigoのポテンシャルの高さも示した。

 

高品質・生産性を両立するIndigo

 

堅調に推移するラベル市場向けの新製品としては、「HP Indigo 8000 デジタル印刷機」を提案した。同機はIndigo 6×00シリーズの次世代モデルで、高速化するためにエンジンを2基搭載。Indigoの980㎜のフレームを2台直列させ、交互に印刷することで最大80m/分の生産性を実現する。デジタル印刷機のターゲットは小ロットだが、集まった細かなジョブを面付けして高速処理することで大ロットを扱えるようにする。150m/分のセミロータリーダイカッターや加飾機とインラインで接続することで、ラベル印刷で多い後加工もワンパスで通すことができる。

drupa2016のデジタル印刷分野で一つのトレンドとなったB1対応機に関してHPは、「HP Indigo 50000 デジタル印刷機」を披露した。最大762㎜幅のロールを給紙できるため、印刷縦方向を1,030㎜以上でカットすることでB1両面印刷を可能にする。印刷サイズは最大で746×1,120㎜。A4サイズの場合、カラー印刷で1分間に575ページ、モノクロ印刷で1分間に2,300ページを出力。A4サイズを10面付けした場合、200ページの高品質カラー書籍が一勤務あたり1,800冊という生産性を誇る。インライン加工機に接続することでさらに生産性が高まる。インラインプライミングユニットを使用する事により、40から350gsmまでのコート紙、非コート紙、光沢紙、再生紙など様々な用紙に対応する。

HP Indigoのカラースイッチング技術を活用した生産強化(EPM)モードでは、3色の印刷でさらに生産性を高めつつ、より低いコストでの生産を可能にする。生産性はIndigo品質を維持しながら33%向上、1分間に770ページ(A4換算)を生産する。2色両面印刷で1分間に1,150ページ、単色両面印刷で1分間に2,300ページ(いずれもA4換算)まで向上する。ターンバー部はオプションで検査装置を搭載するだけでなく、印刷面を目視で確認することもできる。

会場ではサンプルを交えて、フォトブックやアルバム、出版印刷からダイレクトメールなどの販促物の大ロット生産を提案した。加えて、Indigo 50000は会期中、「HP PageWide Web Press T490M HD」と共に、大手出版社のKADOKAWAが新たに構築する書籍製造プラットフォームの生産機として採用したことが発表され、話題を集めた。

 

HDNA搭載で高画質・高生産実現

 

圧倒的な存在感を示したHP PageWide Web Press

圧倒的な存在感を示したHP PageWide Web Press

「HP PageWide Web Press」シリーズの新製品は新開発の高精細ノズルアーキテクチャ「HDNA」を採用。これまでのインクジェットヘッドのノズル密度は1,200npiで、1インチあたり1,200個のノズルだったが、HDNAは1インチあたりのノズルを2,400個に倍増させた。ノズル形状も小さいものが大きなノズルの間に入る構造になっており、大きいドロップサイズから小さいドロップサイズまでコントロールして形成することで滑らかな描画を可能にする。

HP PageWide Web Pressシリーズの新製品となる42インチ対応の「HP PageWide Web Press T490 HD」は、業界でも最も生産性の高いデジタルカラー両面印刷機。印刷速度は高品質モードで約152m/分、生産性モードで最大約305m/分。生産性モードは、従来機と同等の解像度でありながら従来比67%増の高速化を実現する。

また展示機種は22インチ対応のHP PageWide Web Press T230だったが、来年早々には同機のHDNA搭載タイプとしてHP PageWide Web Press T240 HDがリリースされるという。T240HDは、558mの用紙幅に対応し、レターサイズで月産6,000万頁を出力する。生産性モードで155m/分、高品質モードで76m/分の生産性となる。用紙は40~215gsmに対応。オフセット用の新聞紙を含む非コート紙、プライミングソリューションにより、今まで水性顔料インキでは印刷が不可能だったオフセットのコート紙も、全面プライマー処理することで印刷を可能にした。

同シリーズでは2,800mm用紙幅対応の段ボールプレプリント専用機であるPageWide Web Press T1100Sのサンプルも展示された。

 

印刷工程管理を変革するPrint OS

 

Print OSのモニター(会場の出展機を統合管理)

Print OSのモニター(会場の出展機を統合管理)

HPは印刷業界に革新をもたらす最新のデジタル印刷ソリューションを紹介するだけでなく、次世代の印刷工程管理を実現するクラウドベースのオペレーティングシステム「HP Print OS」を初披露した。

Print OSは印刷全体の工程を管理するOS。iOSやアンドロイドのようなコンセプトで、印刷会社にOSとして提供し、そこに様々なアプリケーションをのせることでデジタル印刷の生産工程をより効率的に、収益性の高いものへと押し上げる。さらにアプリケーションを独自に開発・販売することも可能にする。

デモンストレーションでは、出展機種のデジタル印刷機に繋げ、稼働状況や生産時間などがモニターを通じて一目で確認することが出来た。

Print OSはクラウドで提供しており、ユーザーはインストールする必要がない。Indigoなど、HPのデジタル印刷機を購入した際、サポート契約を交わした時点でアカウントが発行されて利用できるようになる。

Print OSをベースに開発された「Print Beat」は、印刷ボリューム、稼働状態の有無、多様性、技術的な障害、リスタート、サプライ・消耗品のライフスパンの交換頻度など5つの指標で自社の印刷機の評価を見ることが出来る。それぞれ20点ずつ配分されており、合計点で今の自社の機械の状態が分かる。

また、約3年分のデータが蓄積されるため、過去の履歴を確認したり、ワールドワイドで、HPのデジタル印刷機の利用状態の平均値が示され、それに対して自社の稼働状況を比較してみることも可能。

入稿管理が出来る「BOX」は、従来、Eメールやファイル転送サービスにより行われていたデータ入稿作業を簡素化するアプリケーション。1ユーザーごとにメールアドレスが発行される。そのメールアドレスに顧客が印刷用データを添付して送付すると、自動的にプリフライトチェックが発行される。データに問題がなければそのままIndigoなどのデジタル印刷機に送って印刷をスタートすることができる。プリプレス作業のプロセスを標準化し、オーバーヘッドを削減しながら処理能力と収益性を高める。

このほか、生産管理ソリューションとしてオーダー管理、プリプレス、印刷の生産管理機能を組み合わせたアプリケーション「HP Site Flow」がある。1日6万ジョブをこなすことを可能にするワークフローで、入稿から印刷、ラミネート、カット、折りなど全工程ごとに見て、どのジョブが残っていて、終了しているのかを確認し、印刷工程をマネージメントできる。

「HP Site Flow」では国内で他社が販売しているワークフローを搭載して使用したり、MISなどの機能を持たせることもできる。将来的にはアウトソースやコラボレーションの場で、Print OSを通じた一括管理を見据えている。例えば東京や大阪など離れた拠点間、外注先で生産する際、同じソフトを使用していれば、クラウドベースのため、他拠点の工程管理も可能になる。Print OS自体はAPIとしてデータの受け皿はもっているため、技術的に他社製品も管理するも可能になる。