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Ferture特集記事

【製本・加工】NS印刷製本
豊富なノウハウで多彩な製本加工を提供
中綴じ製本中心に、特殊折りで顧客の内製化に対応

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2020.5.21

特殊な折りを可能にするホリゾンの菊全判折り機

特殊な折りを可能にするホリゾンの菊全判折り機

印刷・製本・発送までの一貫体制で幅広い業務に対応するNS印刷製本株式会社は、ホリゾンの菊全判折り機を活用した特殊な折りに、穴あけ、角丸、スジ押し、ミシンなどの加工を組み合わせた豊富な製本技術を強みとし、顧客の要望に寄り添った提案を目指すことで成長を続けている。

戦後まもない時期、余った紙の収集、配送業務から始まった同社は、紙の販売と合わせて断裁業にも取り組み、昭和37年に有限会社中村紙業として設立。その後、顧客の要望に応え、折り機、中綴じ機を導入し、大手印刷会社からの仕事を中心とした製本業務を請け負っていた。

昭和52年には、一度に多くの運送業務を引き受けたことをきっかけに、梱包・運送部門のユニバーサルを設立。さらに約20年前にハマダのモノクロ両面軽オフセット印刷機を導入し、印刷部門へと事業を拡大した。

現在は学校のテキスト類や、多彩な折りを施したパンフレット、カタログの中綴じ製本などを得意とし、小ロットから大ロット、印刷、製本、加工のどの工程からの注文でも引き受け可能な対応力を持つ。売上ベースでは、印刷会社からの製本の仕事が7割、専門学校などの印刷から加工までの仕事が3割ほどを占める。

設備強化を重ね、中綴じ3ライン体制で業務にあたっていた同社は一昨年、平成29年度のモノづくり補助金を活用し、特殊な折り加工を可能にする6枚羽を装備するホリゾンの菊全判折り機を導入した。

中綴じ製本ライン

中綴じ製本ライン

中村盟社長は「当時主流だった、輪転機で折り出されたものを綴じるだけという業務は、付加価値が低いものでした。ノウハウの積み重ねで中綴じラインの生産性が上がったこともあり、1ライン減らしてその分を付加価値向上のための折りの強化にあてました」と述べる。

折り加工のラインナップは、2つ折り、3つ折り、4つ折り、8つ折りをはじめ、巻き3つ折り、DM折り、観音折りなど、特殊な折加工に対応。また、特殊な折りを含めた幅広い需要に応えられるよう、穿孔機、角丸機、スジ押し、ミシンなどの加工機も取り揃え、A3判中綴じ+2穴、二丁製本などの専門業者ならではの加工メニューを持つ。

製本技術・品質管理を担当する中村睦専務は「最小で名刺サイズの半分まで折ることのできるので、豆本などの折りも可能です。また、両観音折やジャバラ折り、新しい工法のかえる折りまで多彩な折りに対応しています。抜きや穴あけなどの手作業も含めた他の加工との組み合わせで、より利便性の高い製品に仕上げます。当社はお客様の要望に合わせて、設備と技術を組み合わせながら成長してきました」と同社の強みを語る。

昨今、印刷単体の利益率が低いため、加工を内製化する印刷会社が多くなっている。同社は、通常の折り機で対応できない特殊な折り加工を強化し、他社との差別化を図ることで、印刷会社の内製化による業務の減少に対応している。

 

事業承継で印刷部門を拡充

 

5年前には軽オフセット機の代替えとして、ゼロックスのカラーオンデマンド機DocuColor5656Pを導入。100部からの自費出版など、小ロットの冊子ものを主に取り扱っている。ホームページを見て連絡してくる小口のエンドユーザーがほとんどで、個人からの受注が段々と増加し、利益を上げていると言う。

印刷から請け負う業務では、菊全判の業務が多く、協力会社に外部委託していた。外注加工費を抑えるために内製化への道を探っていたが、設備導入コストで折り合いが付かなかったところ、事業承継の相談を受け、3年前に文京区水道の印刷会社から菊全判4色機Akiyama Bestech40を含む印刷設備、人材を引き継いだ。「当社の豊富な製本、加工技術を駆使し、製本会社としてのスキルを上げつつ、内製化した印刷設備を組み合わせることで提案力が強化されました。印刷だけの事業としても昔から引き受けていましたが、今回の事業承継でその利益が向上しました」(中村社長)と印刷部門が拡充した。

また現在同社は、提携しているDTPデザイナーにより、デザインの提案も受け付けている。今後はデザイン面の強化も目指すとしている。「20年ほど前は、設備の増強に力を入れていましたが、時代の流れから判断して、これからはデザイン、グラフィック関係のソフト面にも力を入れようと考えています」。(中村社長)

同社を含む業界全体の課題として中村社長は、人材育成、人材不足を挙げる。「働き方改革というテーマが取りざたされる中、当社は多能工化を進め、折りから中綴じ、断裁機までを1人で扱える人材を育成することで属人化の解消に取り組んでいます」。

以前は断裁、折り加工に長く従事する職人が多かったが、現在はその数が非常に減少している。人手不足の状況からみても、職人を1から育て上げるのは難しい。「断裁の工程で、物理的な操作としてはボタンを押すだけと言っても、間違いをなくすためには当然知識と経験が必要です。1度で1,000枚ほどカットされ、間違えたら全て刷り直しです。中綴じなど各種加工に対応し、トラブルにも対処しなければなりません」。(中村専務)

特殊な折り加工に取り組む同社は、技術の継承について危機感を感じている。「折り機も全て自動なわけではありません。紙に合った調整などが必要で、経験がものを言います。特殊なものほど、その技術を習得している人材は少なく、育成も困難です」。(中村専務)

近年引き継いだ菊全判4色機の印刷工場も含めた事業承継について中村社長は「今まで天ノリの加工をお願いしていた会社が廃業するとのことで、設備を受け入れ、その会社の社長に1年間通っていただき、当社の社員に技術を伝授してもらいました。特殊な折りの技術に関しても、ベテランの方から教わることはある意味事業承継です。そうしたつながりによって、当社の技術、文化は形作られてきました。こういったことも中小企業の進化の仕方の1つだと思います」と中小印刷会社の発展性を示した。

同社は印刷・製本業のメッカである新宿早稲田地区に本社を構えていることも有効に活用しつつ、廃業していく企業の事業を引き継いでいくことで、業界から技術が失われることを防ぎ、自社の事業を拡大するwin-winな関係を築いていく。