印刷業界ニュース ニュープリネット

Ferture特集記事

【製本・加工】田安製本
「きれいな製本」を強みに提案も
ペラ丁合の冊子づくり専業で印刷、製本・後加工まで

main

2020.5.21

ホリゾンの無線綴機BQ-470

ホリゾンの無線綴機BQ-470

神奈川県でモノクロ印刷による冊子の印刷から製本を専業としている有限会社田安製本は、1984年、製本業として事業をスタート。以来、製本設備を拡張しながら業務を拡大させ、現在ではモノクロ印刷まで対応できる体制を持ちつつ、多様な製本・後加工を行っている。製本業として創業後、メイン顧客である大手電機メーカーから、「製本がきれいな田安製本」という評価を受け、同メーカーのグループ会社向けの印刷物まで受注したことを皮切りに、本格的にオフセット印刷まで業務を拡張し、現在に至っている。

同社の製本部門には、ホリゾンの無線綴機「BQ-470」「SB-08」と丁合機「HAC15 4列(60段)」「VAC100 3列(30段)」、中綴じ機「SPF10-2」、折機「AFC-564AKT」ミシン機「VP-53」や、イトーテックの断裁機の他、大西機械の穴あけ機も設備している。今年2月にはホリゾンの三方断裁機「HT-80」を購入したことにより、製本処理能力が更に向上した。

印刷部門の設備は、リョービMHIの両面印刷機(2台)、岩崎通信機のアナログ製版機・デジタル製版機、リコーのデジタルプリンター「MP C2504」というラインで、アナログからデジタルまで対応するモノクロ・冊子づくりに絞った設備内容が特徴であることがわかる。印刷部門の設備により、コストの掛かる印刷業務と印刷に比べてコストの掛からない製本・後加工を一貫生産することで、最適な生産量で最適価格を提示することにつなげている。

同社で行う主な製本・加工業務は、一般的な冊子製作で使われている無線綴じのほか、ページの少ないテキストやパンフレット類に適している中綴じ、簡易な会議資料などで使うのに最適な平綴じ。こうした受注内容において、蓄積してきた製本・加工技術と設備力、ミスのない確かな品質により、取引先メーカーからは「製本がきれいな田安製本」という評価を得ている。

同社では、顧客先が製作したいものや、目的や用途を聞いたうえで、最適な製本・加工を提案することも徹底。技術力と提案力によって、信頼関係づくりにつなげている。その結果として、大手電機メーカーの仕事では、グループ企業の冊子製作まで受注するに至っているという。

 

細かな受注にも対応

 

ホリゾンの折り機とプレススタッカー

ホリゾンの折り機とプレススタッカー

品質の高い製本の必要性について、田安周平社長は「印刷物の中には、ページ数が多く、少部数でも、長期的に保管する必要のあるものもある。こうした冊子は1部でもオフセット印刷での作業が求められ、品質チェックも厳しく、高い品質が問われてくる。そうした要望に応えることで技術力が鍛えられてきました」と語っている。

品質の高い製本・後加工に加え、オフセット印刷業務まで対応することで、顧客にとって印刷から後加工まで、時には発送業務まで受注する。アナログ製版・デジタル製版にも対応。モノクロをメインとする冊子づくりであれば、デジタルデータだけでなく紙焼きデータを入稿して、印刷・製本まで発注可能。こうした一貫生産を提供することにより、顧客にとっての発注メリットを提供することができ、それが次なる仕事に繋がっている。

製本業務の品質の高さに加え、細かなニーズにも対応できるのも強みの一つになっている。冊子づくりとはいえ、そこには様々なニーズがあるという。例えば、新人研修用のテキストでは、回答ページにマイクロミンシンを入れて、ページが切り外しできるようになっているものや、「800頁の冊子」では、そのうちの約半分のページに片袖折の入ったファイル用製本などペラ丁合の特性を生かした特殊な仕様にも対応している。加えて異なる数枚のペラを重ねた状態で巻3つ折りにするシステムなどもあり、封入作業を効率化し、スピード納品に対応するということもできる。

いずれも細かな製本・後加工ニーズだが、製本会社では敬遠しがちな業務といえる。田安製本では、こうしたニーズにも積極的に対応することで、企業の付加価値を上げることにつなげている。

 

顧客企業の意識が変わっている

 

最近の製本市場については、多品種・少部数化が進んでいるという。発注傾向自体が変化しており、1件あたりの発注部数が減少している一方、件数は増加するなど、大量の受注で稼ぐ時代ではなくなりつつあるという。

実際、同社の大きなクライアントであるメーカー企業では、印刷物の在庫を置かず、必要な時に必要な印刷物を発注する方向へシフトしつつある。こうした顧客の印刷発注に対する考え方の変化にも柔軟に対応していくことが、今後、ますます求められてくると考えている。

時には顧客先である印刷クライアントに納品に関する改善の要望を伝えるなど、より効率的で効果のある印刷物づくりを行っている。それを実現するためにも、従来から培ってきた信頼の品質を維持していくことが大切だと考えている。