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【製本・加工】多田紙工
断裁・製本の技術を幅広く生かす
デジタル印刷+StitchLiner Mark Ⅲでサービス拡充

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2020.5.21

 

小ロット・多品種ニーズにも対応

 

ペラ丁合鞍掛け中綴じ製本システム StitchLiner MarkⅢ

ペラ丁合鞍掛け中綴じ製本システム
StitchLiner MarkⅢ

「切る」「折る」「綴じる」の専門業者として、断裁機16台、折機50台、中綴じ機13台の設備力と技術力で、圧倒的な製本加工サービスを展開している株式会社多田紙工は、今年の2月、富士ゼロックスのデジタル印刷機「DocuColor 5656PN」を導入し、小ロット製本受注への対応を強化した。すでに昨年2月に導入していたホリゾンのペラ丁合鞍掛け中綴じ製本システム「StitchLiner Mark Ⅲ」の更なる有効活用を狙ったもので、小ロット製本への対応だけでなく、冊子の部分的な差し替えや追い刷りニーズなども含めたサービスの拡充を目指している。

昨年導入した「StitchLiner Mark Ⅲ」は、定期的に発生するA4サイズの冊子製作に向けて、厚みの異なる冊子でも作業を中断することなく安定して高品質な製本を行えて、小ロット多品種のニーズにも対応することを目的に導入された。

同社は、大量製本を得意としているものの、カレンダーや暦、大型チェーン店の店舗毎の名入れパンフレットなどの受注も受けている。そのため小ロット・多品種の作業をいかに効率的に行うかは課題となっていたが、必要な部数を必要なだけ生産できる「StitchLiner Mark Ⅲ」を活用することで、無駄なく作業を行うことができるようになったという。

同社に導入した「StitchLiner Mark Ⅲ」は、フィーダー部を改良して大きくしているほか、アイレット綴じ用のステッチャーも搭載。「A4横サイズの冊子づくりへの対応で導入を決めたのですが、アイレット綴じにも対応できるなどが選択した理由です」と多田信社長。加えて、同社のメイン事業となっている大量部数の製本に限らず、デジタル印刷で生産した少部数多品種の製本にも対応できることも目指した選択だったと振り返る。「ページ数が少ないものやロットが少ない受注で主に利用していますが、鞍掛とちがい折加工をしなくて済むというメリットがあります。短納期、小ロット作業で威力を発揮しています」と語る。

 

本社工場と三芳工場とも設備拡充

 

本社工場への「StitchLiner Mark Ⅲ」導入と併せて、同社のグループ会社であるTAD三芳にStitchLiner 6000を移設。三芳の工場では、投げ込み作業を行っており、小ロットはステッチライナー6000とユニットを使用し、大ロットにはオクトパスを活用するなど受注内容によって適切なシステムを選択する環境を構築。本社にStitchLiner Mark Ⅲを導入したことで、本社、三芳ともに小ロットに対する生産ラインが確立されたことになる。

今年導入したデジタル印刷機とのコラボレーションにより、「これまでなかなか対応できなかったデジタルとオフセットを組み合わせたハイブリッドの加工ができるのではないか」と期待を寄せる。特に、StitchLiner 6000では出来なかったペラ丁合がStitchLiner Mark Ⅲで出来ることから、「これまでやってこなかった製本方法や封入業務にもチャレンジしやすくなったことに期待しています」と語っている。

デジタル印刷機の導入を契機に、得意先にとって煩わしかったあて紙やラベルなど、印刷物の付き物の手配に関する業務も視野に入れていきたいとしている。中でも、これまで手間・暇の掛かっていた墨版の差し替えニーズへもスピーディーに効率よく対応できるようになったという。同社ではシーズンが来ると、暦やカレンダーなどの製本も受注する。すると、中には印刷ミスや急な変更での差し替えが発生することがあったが、多田紙工で処理できないものは印刷会社へ印刷を発注しなおすということが必要だった。「こうした急な差し替えがあっても、デジタル機と中綴じ製本機を合わせることで、納期にも無理なく対応できるようになる」と期待している。

 

マーケティングに適したサービスを

 

DocuColor 5656 PN

DocuColor 5656 PN

大量部数を得意としてきた多田紙工だが、市場の変化について、パーソナライズ化が進むことで従来のままの設備では対応しきれないだろうと予測する。顧客企業では、顧客ごとに最適なコンテンツを届けることを考えるようになっている。加えて、8部だけ、10部だけなど必要部数だけを求める傾向があり、この場合、1冊の余分も不足も許されない。そうなると、配布・発送の工程で最新の注意を払う必要があり、手配する企業の業務が煩雑になってくる。こうしたところにも、新しい市場の可能性が眠っている。

最終的に「本」になるものを作ったとして、マーケティング的視点に立てば、どの部分に重きを置き、どの部分のクオリティを高めていくのかを考える必要がある。同じ「本」を届けても、印刷や製本の技術より、マーケティングにかなっていることが必要になる。

今後はますます大量配布が必要な印刷物と小ロット・多品種で、あるいはタイムリーに配布したいなど、目的や用途によって様々な対応ができることが必要とされてくるのではないかとみている。「少部数は大きな売り上げは期待できません。しかし、少部数製本だけでなく、納品や個別配送など最後まで対応できるようにすることで、新たなビジネスとして成り立つのではないでしょうか」と語る。

コロナウイルスの影響で、さらに大きく市場が変化してくる可能性がある。本格的に紙とデジタルのメディア活用を見直す動きが始まり、紙媒体の活用の仕方も変わってくるかもしれない。加えて、無くなる紙メディアがある一方、プッシュ型の活用として見直される紙メディアが出てくるかもしれない。「市場を見ながら、最適な生産を提供していくことが必要だと思っています」と展望している。