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【総合】ラクスル「ラクスル」
新しい価値を提供することで受注を増やす
顧客からえらばれる通販サイトになる

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2020.5.23

2009年に創業、今年8月には東証一部へと上場し、急速な成長を遂げているラクスル株式会社(松本恭攝社長)。「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンを掲げ、全国の提携印刷会社と印刷発注者を繋げるプラットフォーム「ラクスル」を提供している。同社ラクスル事業本部長の渡邊建氏と印刷事業本部参与の堂本秀樹氏に話を伺った。

 

会員は93万人を突破

 

ラクスルが印刷事業を始めてから10年が経過し、同社の印刷通販サービスサイト「ラクスル」の会員は93万人を突破した。(2019年7月時点)縮小する印刷市場の中にあっても、今も成長を続けているのが印刷Eコマース市場(印刷通販サービスの市場)であり、今後も成長の可能性があるという。

成長の背景には、Eコマース市場の魅力である、新しい価値を創造し、提供することにある。印刷Eコマース市場が提供する新しい価値とは、「小ロットの印刷物を高品質、低価格、短納期でかつ簡単に提供する」ということだ。

従来の印刷は、大量部数で発注しなければ単価を下げることが出来なかったため、中小企業や個人事業主などは価格の面で印刷を諦めてきた。そうした顧客にとって、「少部数でも印刷を気軽に発注できる」ことは“新しい価値”であり、それが新しい市場となる。

加えてEコマース市場は、顧客先に選んでもらうことが最大のポイントとなるが、そのためにも「良い品質の印刷物を安く・早く届けること」が必須条件であると同時に、プラスαの魅力も必要となる。「ラクスル」ではプラスαの要素の一つとしてカスタマーサポートを強化している。問合せの電話が繋がりやすい印刷通販サイトとしても知られており、2018年にはサポートサービス業界の国際認証期間であるHDI-

Japanが主催する格付けベンチマーク「問合せ窓口(電話)」において最高評価の3つ星も獲得した。現在の「ラスクル」のユーザーは、個人経営や小規模の飲食店・小売店なども多く、印刷の発注に不慣れな個人ユーザーからの問合せも多いという。

ラクスルでは印刷Eコマース市場に取り組むに当たり、「テクノロジー力」「マーケティング力」「ものづくり力」という3つの力を合わせた事業展開を進めている。

 

3つの力で市場を拓く

 

「マーケティング力」とは、全国から受注を集める力を指す。生産の効率化も、印刷機の稼働率の向上も、印刷受注を集めてこそ発揮できる力となるからだ。「テクノロジー力」は、簡単にデザインできるサポートツールの提供やデータチェックの自動化、納期短縮・コスト削減を実現する仕組みの構築などテクノロジーを活用すること、そしてそれを自社内で内製できるエンジニアリング力だ。この2つはラクスルが得意としている分野であり、社内のシステム開発部門が日々開発に取り組み、マーケティング部門が市場開拓に挑んでいる。

一方、「ものづくり力」は、高い品質の印刷物を大量に生産できる工場である。そのための工程改善やオートメーション化など、技術開発や設備投資を継続できる会社とパートナーシップを組み実現可能とする力である。

これら3つを実現することが、今後の印刷Eコマース市場で成長できる要素であると考えており、それを実現する一つの仕組みとして、ラクスルと提携をする印刷会社「ラクスルパートナーズ」の体制を構築。現在も「ものづくり力」を持つパートナー企業を募っている。

ラクスルパートナーズに加わっている企業にとって、印刷Eコマースを活用することは、営業担当者を持たなくても全国からタイムリーに、かつスピーディーに印刷を受注できるビジネスモデルとなる。煩雑になりがちな小ロット需要への対応を可能にし、印刷の生産ライン改善にも繋げることができる。

現在、ラクスルパートナーズには、全国各地の印刷会社および配布会社が名を連ねている。ものづくりに関して得意とするパートナー企業が担い、それ以外の紙の供給、資材購買、物流などをラクスルがサポートすることで生産工場の最大のパフォーマンスを引き出すことを目指している。

一方、ラクスルでは、パートナー企業に対して、通販サービスの受注に耐えうる生産性も要求している。市場において競争力を発揮し、顧客に対して「印刷物を高品質、低価格、短納期でかつ簡単に提供する」という価値を提供するために必要なことだからだ。そのため、世界のEコマース工場の情報の提供や様々な産業で行われている生産改善も行い、共に理想とする工場を目指している。

効率化と生産性を高めることは、印刷通販ビジネスにおいて大きな要素となる。そのためにも「標準化」がポイントであると堂本氏。印刷通販ビジネスは、小ロットの注文をまとめて生産することで利益が生まれるが、個々の発注者ニーズにも対応しなければならない。しかし、多様な受注内容であっても仕組みを構築することで標準化できるのが“通販ビジネス”の強みでもあると言う。

ラクスルは、「ラクスルパートナーズ」を通じて、印刷産業における新しい価値の提供と、新しい市場創出を提案している。企業を成長させるためには改善を続けていく必要があるが、仕事があってこそ工場が稼働し、改善活動も進む。仕事量を増やすことと改善を進めることは両輪で進んでいく。「日本で最高の生産性を目指し、一番ユーザーに価値を提供できる会社をめざして、パートナー企業と共に改善を進めていきたい」と語っている。

 

ラクスル株式会社

「ラクスル」

https://raksul.com/