印刷業界ニュース ニュープリネット

Ferture特集記事

【ビジネス】ヒカリ紙工
販促ラベル1本足からの脱却へ
管理用バリアブルラベルを強化

main

2016.8.9

バリアブル印刷で活躍するLabelMeister EM-250W

バリアブル印刷で活躍するLabelMeister EM-250W

ヒカリ紙工株式会社(愛媛県四国中央市/坂下正和社長)は岩崎通信機のUV硬化式インクジェットデジタルラベル印刷機「LabelMeister EM-250W」を導入し、バリアブル印刷製品を拡充するとともに、新規ビジネスの獲得を図っている。

昭和52年に創業した同社は「SM(Sales Morale)ラベル」のブランドで全国の中小の小売・流通業者を対象にした販促ラベルを中心に、ラベル製品の企画、製造、販売を展開している。母の日、父の日、バレンタインデー、ホワイトデー、クリスマスなどのイベントに合わせて季節商材を揃え、売上比率は約8割に達している。直接の顧客は代理店。そこから取引先の小売・流通業者に販促ラベルのカタログが配られ、受注した製品を製造し、納品している。

設備はロータリー式凸版印刷機が10台、間欠式凸版印刷機が6台、平圧凸版印刷機が4台、箔押機が3台。従業員60名の体制で顧客の要望に応える。

販促ラベルは安定した既製品といえるが、この10年間を振り返ると市場は大きく変化した。「30円引き」、「50円引き」などの値引きシールの使用が減少しているほか、小型サーマルプリンタの性能が上がり、内製化が進んでいる。

同社の坂下正和社長は「当社の販促ラベルの売上比率はかつて9割。安定しているが、徐々に減少している。30円引きラベルの上に50円引きラベルを貼る過剰貼りも減った」と市場の動向を説明する。かつてはまとめ買いをしていたエンドユーザーは、消費者の目先を変えるために毎年、デザインを変更するようになり、在庫を嫌って必要な時にその都度発注するようになった。結果、小ロット化が急速に進み、単価が下がった。

坂下社長は、小売・流通業者向けの販促ラベルに頼った一本足の事業形態のリスクを見通し、新たな事業領域に踏み出した。その一つが、小売店や物流を対象にした製品や貨物の管理用バリアブルラベルである。

当初はナンバリング装置で可変部分を印刷していたが、2009年、需要増に伴いインクジェットヘッドを装着したバリアブル印刷専用機を導入した。「今後、可変情報はラベルビジネスに必須になってくると考え、先行して取り組んでみよう」と、将来を見据えて投資。生産増に合わせるように受注も増えていった。しかし、導入したインクジェットヘッドの生産が中止となり、インクの供給が止まることになる。

 

1点1,000枚が何十点あっても

瞬く間に印刷

 

LabelMeisterのサンプル

LabelMeisterのサンプル

同社では販促ラベルに代わる新規事業の構築に向けて、ラベル向けのデジタル印刷機を導入したものの、実際に稼動を始めると位置精度を合わせにくく、抜き加工時にロスが発生し、生産性の面で課題を抱えていた。インクジェットの消耗品の供給ストップが間近に迫る中、バリアブルラベルに対応しつつ、新規事業構築の柱になるデジタルラベル印刷機の選定が急務になっていた。

2012年、岩崎通信機はデジタルラベル印刷機「LabelMeister EM-250」へのホワイトインク搭載を発表する。坂下社長は実機テストにより位置精度、生産性、品質に問題がないと判断。導入して間もなく稼動に移していった。坂下社長は「LabelMeisterはナンバリングの課題を解消してくれた。位置精度が最も安定していた機械で抜きの問題もない。毎分50mの出力スピードも申し分ない」と評価する。

現在、バリアブルラベルの業務はLabelMeisterに移行した。バリアブルラベルは小売店の詰め合わせ商品の管理や、物流業の貨物管理などに使われている。同社ではクライアントの全国拠点ごとに異なる枚数、内容の多品種のバリアブルラベルを発送する。間違いなく必要な枚数、内容を届けるノウハウを持っており、クレームはゼロ。バリアブルラベルを基点に印刷だけでなく、アッセンブリ、発送業務までを請け負うビジネス・プロセス・アウトソーシングまで領域を広げた。

物流などで利用するには、コストや数量、内容の変化への対応を考慮するとラベルが最も機能的といえる。クライアントが必要なラベルの枚数を予測し、月曜日に発注をかけると同社では3日以内に納品する体制を整えている。多品種で小ロット、短納期で、かつ発送先が多拠点にわたるビジネスモデルにはデジタル印刷が欠かせない。

バリアブルラベルに関しては地元周辺の雑貨メーカー向けに、製品の仕様やバーコードを印刷した裏シールにも採用され始めた。サイズが同じだが、印刷内容が異なるため、凸版印刷では版の制作、印刷ともに追いつかない。「デジタルラベル印刷機であれば1点1,000枚が何十点あっても、瞬く間に印刷が終了する。凸版ならば版を焼くだけで何日もかかる」という利点は大きい。

印刷は墨一色が基本だが、今後は貨物の視認性を考慮し、色違いのラベルが求められてくることが見込まれる。「今は墨が多いが、新規顧客の獲得にはカラーのラベルが効果的。既存のラベルからの切り替えというよりも、小ロット・多品種の新版についてはインクジェットを提案している。これからは生産効率を含めてデジタル印刷になるべく切り替えていきたい」。

 

ソリューション型営業へ転換

新ブランド立ち上げも展望

 

LabelMeisterは通常形態のラベル以外にも、長尺出力や軟包装への印刷にも対応する。顧客にバリアブルラベルを含め、そうした新しいアプリケーションを周知していくことが今後の課題である。

これまでは代理店経由の販売が多かった。エンドユーザーのニーズの吸い上げや、企画の提案が難しく、営業的にもどかしい部分があった。バリアブルラベルを通じ、小売店や物流業と直接の取り引きが増えたことで、顧客の要望が聞きやすくなり、営業面での“やりがい”が高まっている。社内にも意識の変化が生じており、「小ロット、バリアブルという切り口で、お客様の負の部分を解決するビジネスを展開していきたい。それにはインクジェットが武器になってくる」と展望する。

坂下社長は、売上を支えている「SMラベル」に代わるB to C向けの商品とブランドの立ち上げを計画している。「社内に自分たちが何か生み出すという姿勢をもっと浸透させていく」というその先に、新しいビジネスモデルが見えてくる。