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【インタビュー】サイコー
安定した高品質の維持を目指して
「EYEON-F」を開発、販売へ

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2020.5.21

昭和55年、商業印刷物の断裁・折・手加工を行う企業として創業し、折り加工技術を強みとしてきた株式会社サイコーが、紙折機専用の超高性能乱丁・混入防止システム「EYEON-F」を開発し、販売している。同社社長の宮村潤氏と、開発事業を担当してきたチーフの塩原健吾氏に話を伺った。

 

品質管理のために検査機を開発

 

検査システム「EYEON-F」を搭載した折り機

検査システム「EYEON-F」を搭載した折り機

「EYEON-F」を開発・販売しているサイコーは、イトーテックのA倍版・B倍版や勝田製作所などの断裁機5台、正栄機械の最新型コンパクト4枚羽根B2やA2オリスターをはじめハイデルの6枚羽根スタールなどの紙折り機16台を設備する後加工業務をメインとする企業。その他にも全自動クラフト梱包機、穿孔機も設置しており、製本・加工から発送までの顧客ニーズに対応する。

生産工程では納期、数量、作業場所などの計画・管理活動を効率化する生産管理システムを導入した効率的な生産管理を行っているほか、ユーザーの要求にこたえるべくトレーサビリティ(追跡可能性)に取り組んでいるのも特徴。主な取り組みとして、4,000部に1部の割合でのサンプリング取得や、自社ラベル作成時はナンバリングの印字を実施している。それに加え折機用検査機「EYEON-F」を導入することにより安定した品質の提供と安心・安全の作業環境の構築を行っている。

サイコーが「EYEON-F」を開発したきっかけは組合の海外企業への視察旅行だった。視察先の企業では、品質管理のための画期的な検査装置の採用などが進んでいた。

サイコーは以前、明らかに自社責任ではないクレームについて、それを証明する検査システムがなかったために責任を負った経緯があった。宮村社長はその苦い経験を踏まえ、折り加工にも同じ様な検査装置が設備できないだろうかと思いたったことから、折機専用検査システムの開発が始まった。

印刷物の最終工程となる製本・加工の作業現場は、製版や印刷の現場と比べて作業工程が多いが、検査装置の導入が進んでいない。そのため、製本・加工業に到着する前の乱丁・混入などがあっても、それを見落として納品してしまえば、最後工程である製本・加工会社の責任とされてしまう場合がある。品質管理が整備されていないがために、製本・加工でトラブルがなかったことを証明できないからだ。

こうした品質管理で問題が出ることでのリスクは大きい。全品検査を強いられたり、製造のし直しに発展することもあり、作業時間のロスや製造コストが大きな負担になる。宮村社長は、こうした状況を回避し、なおかつ高品質を維持した生産体制が必要だと考えていた。

 

加工機の検査精度を向上へ

 

品質管理において、どれだけ気を配っても人手による作業に頼っている現場には限界がある。製本・加工会社でもカメラ検査を導入するなど品質管理が普及しつつあっても、製本・加工の乱丁事故は解決されていない。

「EYEON-F」は、折加工の品質維持における課題の解決を目的に開発された。主な特徴は、折機専用の検査機として設計され、多重検査機能を搭載。作業履歴を自動で保存し、カメラ2機により表裏の検査に対応する。検査速度は最大で8万枚/時なので、折り機の作業スピードを下げることなく検査ができる。

これまでの検査機の問題点は、印刷の汚れだけでなく紙の抄造段階で付着するゴミや絵柄等のズレをカメラが読み込むことで機械が停止してしまう。すると生産スピードを落とすことになるため、カメラの読み込みレベルを下げるなどしてスピードを維持することがあった。あるいは読み込み位置の調整幅が少ないために、やむなく似たような文字や絵柄を読み込ませると、違う絵柄をセットしても同じ絵柄として機械が認識してしまうということが起きていた。

「EYEON-F」は、最大で4箇所の絵柄を読み込ますことができ、同時検査を行う。シーンにより4つの検査モードから選択でき、生産スピードや品質を落とすことなく検査ができる。紙折り機専用の後付け設計なのであらゆる折機に対応し、センサー、カメラが独立しているので自由に動かして設置できる。

「EYEON-F」に搭載されている4つの検査モードとは、①多重検査、②複数検査、③白紙検査、④位置連動検査。①の多重検査モードが標準的な検査方法となっており、1つの検査画面に対して最大4つの検査枠を設置し、設置した全ての検査枠が不良と判断するまでNGフラグを立てない仕組みとなっている。この仕組みにより、上記で述べたこれまでの検査機の問題点を克服した。また、その他の3つのモードを搭載する事でシーンにより検査方法も選択出来る。

パソコンで検査画像を解析。それにより複雑な検査もできるようになっている。タッチパネルの採用により、簡単操作で検査を行える。

 

付加加価値向上と利益創出に貢献

 

検査装置の開発は、単に品質トラブルを削減したいという思いだけではないという。印刷市場全体は縮小し、製本・加工においても1件あたりのロット数が減少している。特に、大手企業などは支社や営業所単位での印刷発注から、本社が一括して発注することで単価を下げていこうという動きもあり、印刷クライアントの印刷物に対する発注の考え方が変わってきている。

こうした中、製本・加工業界が業績を維持していくためにも、製造コストの圧縮や、ミス・ロスを削減していくことが今まで以上に必要とされてきている。そのためにも常に安定した品質や、納品後のトラブルを防止する取り組みが必要とされている。

「EYEON-F」を採用し、品質検査の体制を構築することで、受注する側は安心して生産し、納品できる環境づくりができる。これによりオペレータへの負担も軽減する。実際、6台の検査装置が稼働しているサイコーでは、「EYEON-F」を搭載した折機を使って作業したいという従業員の声が圧倒的に多い。

検査体制が構築されたことで、品質に対する信用度も向上する。それが付加価値となって価格の維持や、急ぎの対応などでは単価の値上げ材料にすることもできる。「EYEON-F」の設備に伴う相乗効果として、載せ間違いによる逆折りや印刷の裏白などの発見にもつながり、品質管理精度がさらに向上しているという。

今後はますます製本・加工分野における自動化が予測される。仕事量が多いほど品質管理精度は利益に反映され、品質検査の徹底は利益確保に直結する課題となる。そのため、製本・加工の無駄を排除し、正しい利益を確保するためにも、多くの企業に導入してもらいたいとしている。なおサイコーでは「EYEON-F」の良さを知ってもらうために、導入を検討する企業に対して無償レンタルも行っている。